心臓
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症例 心エコー図により診断し得た著明な冠動脈拡張を伴う大動脈炎症候群の1例
何松 啓志渡邉 乾前田 利裕井上 健犀川 哲典伊東 祐信高木 良三郎濱村 義史堀 秀史
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1990 年 22 巻 5 号 p. 539-543

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抄録

症例は43歳の女性.昭和50年頃健診時高血圧を指摘された.昭和57年頃より時々めまいを自覚.昭和62年10月13日精査のため当科に入院した.入院時,血圧は,上肢190/70mmHg下肢184/72mmHgであり,左右差は認めなかった.頸部,上腹部に著明な血管雑音を聴取した.赤沈26mm/h,CRP(一).心電図では左室肥大の所見を認め,胸部および腹部単純X線写真にて大動脈の著明な石灰化の所見を認めた.胸部および腹部の大動脈造影で大動脈の辺緑不整と狭窄像を認め大動脈炎症候群と診断した.心臓超音波検査法で左冠動脈主幹部の拡張と前下行枝と回旋枝の分岐部および分岐部以下の前下行枝の血管壁のエコー輝度の増強の所見を認めたため,冠動脈造影検査を施行し左冠動脈入口部狭窄と狭窄後拡張の所見が認められた.大動脈炎症候群の冠動脈病変の合併は最近注目されているが,心臓超音波検査法は本症のような冠動脈病変の検出に有用であると思われた.

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