心臓
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研究会 第22回 理論心電図研究会 第1テーマ:Late potential Late potentialの臨床の現状と問題点
検出法と臨床的評価
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1990 年 22 巻 5 号 p. 558-571

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抄録

Late potentialの検討には,機器側と生体側の問題点がある.検出機器はいまだ規格の統一がなされておらず,平均加算,フィルター,誘導法,などが当面の検討課題である,洞調律時の心内fragtnentationは比較的再現性があり,平均加算による劣化は避けられないものの,臨床的検討には十分利用可能であると思われる.Band-pass filterは40-300Hz付近がよいとされ,我々の検討でも,VTとLPの関連が明確な例は,high pass filterを25-100Hzに可変してもVTのない例を明確に区別可能であり,特に40Hz以上で良好であった.市販の3機種の同一患者の検討では,規格や判定基準に差が見られても,latepotentialの評価においては75.2%の一致率が見られた.誘導法についても,従来のvector magnitude法が最良とはいえず,単極の多誘導でのlate potentialのmappingは,FFT解析や三次元表示などの新しい試みとともに,従来の方法の弱点をある程度カバーすることが可能と思われたる
臨床的には特に急性期を過ぎた心筋梗塞患者のVTや突然死の予知に有用であるが,疑陽性に相当するものが多いので,negative predictive valueを評価したほうが臨床的価値がある.心室性不整脈の重症度とlate potentialの関連は,背景の疾患により異なり,同じ疾患でも病期により差が見られる.例えば心筋梗塞では急性期よりも慢性期に両者の関連が深い.late potentialによる治療効果の判定は,薬物効果判定には有用とはいえず,心室瘤切除術後のVTに対する効果判定には有用と思われた.

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