心臓
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研究会 第22回 理論心電図研究会 第1テーマ:Late potential 心室不整脈とlate potential
下村 克朗
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1990 年 22 巻 5 号 p. 578-596

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抄録

体表面心電図の加算平均からQRSのあとに記録される1atepotentia1(LP)は心腔内または心表面で記録されるdelayed potential(DP)を表現するものとして注目されている.このLPは心室不整脈,殊に持続性心室頻拍の症例に高頻度に記録されるが,基礎心疾患として陳旧性心筋梗塞,右室異形成症,心筋症に多く,特発性心室頻拍では記録されない.また手術前後での記録では陳旧性心筋梗塞例で心室瘤の切除または摘出を受けた例では改善する例はあるが,右室異形成症では有意差がみられなかった.
心室内でのDPの発生部位を体表面から同定し得るかを検討した.MACほによる記録からは右室,左室の電位を表現する誘導でそれぞれのLPの最大振幅を比較することによって右室起源,左室起源を推定することができた.さらに胸部単極誘導を用いて体表面の多数の誘導点における心電図を加算平均しLPの最大部位を求めると,電気生理学的検査から得た心室内DPの記録部位を反映して体表面の一定領域に出現し,また多くの例においてLP最大部位はQRS末期の極大の位置と一致した.DPは心腔内の伝導遅延の部位を表現するものと考えられ,不整脈外科やcatheter ablationが発展途上にある今日,非侵襲的にその部位を知り得ることに本法の意義がある.

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