心臓
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臨床 発作性心房細動を有するWPW症候群例の臨床像の経過および予後に関する検討
森 光弘深谷 眞彦坂本 俊文村島 潤谷川 宗生清水 昭彦木谷 文博橋場 邦武
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1990 年 22 巻 9 号 p. 1024-1033

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抄録

デルタ波を伴う頻拍性心房細動(Paf)の発作歴を有するWPW症候群28例(男25例,女3例,A型15例,B型13例,平均51±17歳)について,2~15年間(平均5 .6±4.5年)長期経過観察を行った.抗不整脈薬による治療を行っている21例のうち,Pafの発作が3年以上認められなかったもの8例,発作はあるが失神やめまいが認められなくなったもの3例,発作時心電図で最短R-R間隔が50msec以上の延長を示したもの3例で,このうちの2例では発作時においてもデルタ波が認められなくなった.また,洞調律時の心電図でデルタ波が消失したもの2例,間欠型に移行したもの1例,慢性心房細動に移行した2例のうち1例ではデルタ波が消失し,他の1例では間欠型であった.副伝導路切断術を施行した2例では,手術後発作は消失した,臨床心臓電気生理検査を施行した20例のうち,最短の副伝導路順伝導有効不応期が250msec以下のhighrisk例は15例であったが,このうち内科的治療が不十分であった1例と無治療の1例に急死を認めた.今回の我々の検討では,内科的治療によって,Paf時の臨床症状あるいは心電図所見などの改善が得られた症例もあったが,治療が不十分なhighrisk例の中には急死例もあり,長期の内科的治療に際しては,十分な管理と継続的な治療が重要であると思われた.

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