心臓
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症例 分葉脾,下大静脈欠損,洞機能不全症候群を合併し,心内奇形の合併のない孤立性左心症の1例
今井 美佐飯島 徹布施 幸彦飯塚 利夫長谷川 昭鈴木 忠村田 和彦
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1990 年 22 巻 9 号 p. 1039-1044

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抄録

22歳女性.15歳頃からめまいを自覚していた.昭和62年7月,意識消失発作を主訴として当科に入院した.入院時,心拍数は40/分で,房室接合部調律を示し,モニター心電図上約8秒間の心停止をみた.胸部X線では心陰影に著変なかったが,下大静脈の欠損が認められたが,上大静脈,大動脈,右室および左室の形態,位置関係に異常はなかった.消化管のX線透視では,上部消化管は逆位にあり,腹部エコーでは肝はほぼ正中に位置し,脾はX線CT検査で胃の後方に分葉状に認められた.本症例のごとく,心内奇形を伴わない孤立性左心症は極めてまれで,本邦ではこれまでに8例,欧米においても12例の報告をみるに過ぎない.また,洞機能不全症候群を合併した症例の記載はない.
内臓逆位を伴う左心症は,胎生早期の腸管回転と心原基の心軸回転のくい違いにより生じると推定されており,そのため,本症の90%以上に心内奇形の合併がみられる.また,調律異常の合併も高率に認められているが,洞機能不全症候群の合併例の報告はない.我々は,Adams-Stokes発作を伴う洞機能不全症候群を合併し,心内奇形を伴わない孤立性左心症の1例を経験したので報告する.

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