心臓
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症例 心室中隔穿孔と仮性心室瘤を合併し,心室瘤破裂により死亡した急性心筋梗塞症の1例
大黒 哲土師 一夫小川 洋司下原 篤司河口 正雄野々木 宏深見 健一住吉 徹哉平盛 勝彦今北 正美由谷 親夫
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1990 年 22 巻 9 号 p. 1074-1079

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抄録

急性心筋梗塞症に合併する心破裂は心原性ショックに次いで本症の主要な死因であり,広義には,左室自由壁破裂,心室中隔穿孔,乳頭筋断裂を含む.同一例に複数の心破裂を生じることは少ないが,最近我々は,心室中隔穿孔,仮性心室瘤形成を合併し,仮性心室瘤の破裂により死亡した,急性心筋梗塞症のまれな1例を経験したので報告した.
症例は71歳男性,急性下後壁梗塞発症後,第4病日に心室中隔穿孔を合併し,当院CCUに入院した.大動脈内バルーンポンプ法を含む内科治療によってQp/Qsが1.5~1.5で,血行動態も安定し,重篤な他臓器障害も認めなかったことから,待機的手術の方針とした.しかし,急性期に成人呼吸窮迫症候群を合併したため,手術の施行が不可能となった,第22病日,左室自由壁破裂により死亡した.剖検では,梗塞部に仮性心室瘤が形成されていた.心二重破裂,仮性心室瘤合併例はまれであり,本例は貴重な1例であると考えられた.

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