心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 術前のKent束部位診断に2方向Mモード心エコー図が有用であったWPW症候群の1例
志田 憲彦矢野 和俊加治 良一岡村 孝津田 泰夫仁保 喜之川内 義人徳永 皓一金谷 庄藏藤野 武彦
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 22 巻 9 号 p. 1080-1085

詳細
抄録

術前2方向心エコー図(bidirectional echocardiography)によりKent東部位診断を行い,術中心表面マッピングによりこれを確認し,Kent束切断術を行ったWPW症候群の1例を経験したので報告する.症例は37歳の男性,主訴は失神発作.昭和57年,数秒の失神発作出現し,WPW症候群に伴う発作性心房細動の診断を受ける.昭和63年6月より,治療抵抗性の頻拍性心房細動発作が持続し,左心不全症状も出現したため,当科入院.心電図はB型WPW症候群を伴う頻拍性心房細動.Mモード心エコーで,心室中隔に収縮早期後方運動がみられ,さらに2方向心エコー図で早期収縮が右室後側壁で最も早いことが推定された、術中,心表面マッピングで同部位に早期興奮を認め,Kent束切断術を施行.術後の心電図では,デルタ波は消失した.本例は2方向Mモード心エコー法が副刺激伝導路の部位診断に有用であることを示した1例である.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top