1992 年 24 巻 5 号 p. 589-593
肥大型心筋症を合併したvon Recklinghausen病(以下Rec.病と略す)のまれな母児例を経験したので報告する.症例は7カ月の長男と42歳の母親である.発端者は長男であり心雑音と体重増加不良を主訴に来院し,心電図異常と断層心エコー図で強い心筋の肥大を認め肥大型心筋症と診断した.母親は全く無症状で心雑音もなかったが,心電図胸部誘導のT波異常と断層心エコー図で非対称性中隔肥大を認め肥大型心筋症と診断した.Rec.病としての症状は両者ともに皮膚色素斑のみであった.肥大型心筋症がRec.病の本質的な症状の1つかどうかは不明であるが,Rec.病の患者を診察する際には無症状であっても断層心エコー図で肥大型心筋症の有無を検索する必要がある.