心臓
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臨床 経皮経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)例の1年間の経過観察
小野 直見本康 宗信清水 雄三青木 俊和西川 英郎角田 裕福井 敦小西 得司中野 赳
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1993 年 25 巻 3 号 p. 289-294

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抄録

経皮経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)後の僧帽弁狭窄症例を経時的に観察し,1)弁口面積の減少,臨床症状の増悪の有無,2)弁口面積減少に関与する因子の2点に関して検討した.対象は僧帽弁狭窄症13例(男5,女8例)で,年齢は60±8歳,観察期間は11.8±3.0カ月であった. 弁口面積は心エコーにより直接計測(2DE)とCW波形よる方法(CW)で測定した.2DE法では弁口面積はPTMC1日後に比べ,4~8カ月後には減少した(2.09±0.36より1.87±0.27cm2)が4~8カ月と11~16カ月との間に変化はなかった.CW法ではPTMC1日後,4~8カ月後,11~16カ月後で有意差はなかったが減少傾向であった.NYHA機能分類,左房径,心胸郭比いずれも経過中変化はなかった.PTMC1日後に比べ,11~16カ月後の弁口面積の減少率が10%を越える群,越えなかった群の2群間で年齢,性別,心房細動の有無,観察期間,弁形態,弁口面積,左房径,平均僧帽弁圧較差,PTMC前後の弁口面積・左房圧・圧較差の変化,使用したバルーン径, 拡張回数のいずれも有意差はなかった.PTMC後1年間の観察期間では僧帽弁口は減少傾向があると考えられた.弁口の再狭少化を術前に予測することは困難で,自覚症状の増悪は認められなくとも,定期的な弁口面積の経過観察が重要である.

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