心臓
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第13回心臓性急死研究会 高齢発症のBrugada症候群の1例
上山 剛清水 昭彦山縣 俊彦江里 正弘板垣 和男大村 昌人木村 征靖吉賀 康裕鵜木 哲秀森谷 浩四郎中村 安真河原 慎司松崎 益徳
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 128-133

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抄録

71歳の男性.69歳時にテレビを見ている時にはじめて失神した.71歳時に車の運転中に失神による交通事故を起こし,搬送途中の救急車内でも失神しモニターで心室細動(VF)が確認された.搬送後の洞調律時心電図はBrugada型心電図を呈していた.心エコーでは器質的異常を認めなかったが,冠動脈造影検査にて第一対角枝に90%の狭窄が判明した.同部位に対する経皮的冠動脈形成術を施行後の心臓電気生理学的検査においてVFが再現性をもって誘発されたがニフェカラント15mg静注後に行った誘発試験ではVFは誘発されなかった.本例には発作性心房細動の合併もあり停止目的でフレカイニドを使用したところST上昇が顕著となった.以上より1枝病変を合併したBrugada症候群と診断し,後日ICDの植え込みを施行した.その後,入院中に発見された肺癌に対して左肺上葉切除術が行われ,その手術当日の深夜にVFの自然発作が生じICDが作動している.本例はBrugada症候群としてはVFの初発年齢が高く,ニフェカラントによってVF誘発抑制効果を認めた点で興味深いと思われた.

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