心臓
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第13回心臓性急死研究会 無症候性Brugada症候群の経年的変化と心室細動の発生について
阪部 優夫藤木 明西田 邦洋長沢 秀彦水牧 功一井上 博
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 134-139

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抄録

【症例】36歳の男性で,19歳時に心電図前胸部誘導にsaddle back型のST上昇を指摘され,経過観察とされていた.36歳時就寝中に嘔気と尿失禁あり当院入院となった.入院時意識清明,洞調律でV2-3のsaddle back型のST上昇を伴う右脚ブロックを認めBrugada症候群と診断された.電気生理検査で心室頻拍(Vf)が誘発され,植え込み型除細動器(ICD)を装着した.経過観察中にICDにてVfの自然発作が確認された.【目的】前述の症例をふまえて無症候性Brugada症候群(心電図前胸部誘導に特徴的ST変化と右脚ブロックを認めるものの失神発作を伴わない)の頻度および経過を検討した.【対象・方法】1990年に定期健康診断を受診した2,298名について,無症候性Brugada症候群の頻度と,1999年までの10年間における経年的心電図変化および致死性不整脈発生の有無を検討した.【結果】無症候性Brugada症候群は2,298名中41例(1.8%)に認められた.経年的心電図変化が41例中13例に認められたが,致死性不整脈や突然死はなかった.【考察】経年的心電図変化など,症候性のBrugada症候群と同様の所見を認める例においても致死性不整脈の発生頻度は低いものと考えられた.

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