2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 63-67
症例は48歳,女性.36歳時,僧帽弁狭窄症と診断され,経皮的経静脈性僧帽弁交連切開術を施行した.46歳時より薬剤抵抗性の頻脈性心房細動発作を繰り返し,計3回の電気的除細動術を行った.発作時の自覚症状が強く,抗不整脈薬の効果が不確実であるため,房室接合部に対し高周波カテーテルアブレーションを施行した.焼灼後,心拍数約47/分の安定した接合部性補充調律に移行し,補充調律下にペースメーカー植込み術を施行した.焼灼約20分後,繰り返すTorsade de pointes型多形性心室頻拍が出現,心室ペーシングはそれ自体誘因となり無効であった. Lidocaineおよび硫酸マグネシウムの静注後,本不整脈は消失し,安定した心室ペーシングが可能となった.本例では,房室接合部の焼灼に伴う徐拍化が不応期の不均一性をもたらし,多形性心室頻拍の誘引になったと考えられた.房室接合部アブレーション術後は,早期よりペーシングによる心拍数維持を行い,心電図モニターなど厳重な経過観察が必要と考えられた.