心臓
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第13回心臓性急死研究会 致死性心室性不整脈に対する塩酸ニフェカラント(シンビット)の抑制効果
加藤 林也山田 高資山本 春光高田 康夫富田 保志北野 知基渡辺 俊也
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2001 年 33 巻 Supplement3 号 p. 79-83

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抄録

【目的】塩酸ニフェカラント(シンビット)の重症心室性不整脈抑制効果を検討.
【対象・方法】対象は薬剤抵抗性または頻回の直流除細動を要した心室頻拍(VT)あるいは心室細動(VF)患者14例(男11例,平均年齢57.5歳)であり,基礎心疾患は急性心筋梗塞2例,陳旧心筋梗塞2例,拡張型心筋症3例,肥大型心筋症2例,不整脈原性右室異形成症1例,僧帽弁閉鎖不全症1例の計11例に認め,他の3例では基礎心疾患を認めない心肺停止患者であった.シンビットは急速静注(15~25mg/5min)および持続静注(10~20mg/hr)を行った.VT/VF抑制効果の判定は急速静注による停止効果(直注直後までに停止した場合を有効)と持続静注による予防効果(再発のない場合を有効)について検討した.
【結果】VT/VFの抑制効果は14例中7例(停止効果;6/11例,予防効果;6/9例)で認められた.有効例の7例中2例は低酸素脳症後遺症にて他院に長期入院中であり,3例は追跡期間中の2~6カ月後に死亡し,外来通院可能なのは2例のみである.生存例ではアミオダロンまたはβブロッカーを経口投与中である.停止・予防効果のいずれも無効であった7例中6例は早期に死亡し,他の1例は外来通院中である.
【結語】薬剤抵抗性または頻回の直流除細動を要する致死性不整脈患者において,シンビットは高い有効性を示し,緊急時の第1選択薬となり得ると考えられた.

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