心臓
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症例 コレステロール心膜炎の1例
樋熊 紀雄田村 康二松岡 松三春谷 重孝寺島 雅範浅野 献一深瀬 真之小泉 富美朝
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1975 年 7 巻 1 号 p. 66-73

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抄録

症例は46歳の男子で,高熱で発症し,胸水および心嚢液の貯溜が認められ,抗結核剤,ステロイドホルモン,抗生剤などの投与になり貯溜液の消失をみたが,経過中に心膜摩擦音の聴取,次第に増強する頸部絞扼感,上半身の浮腫,労作時の動悸が出現するようになり,収縮性心膜炎と診断し,心膜剥離術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査により,コレステロール心膜炎と診断した.発症より16ヵ月と経過は早く,術後2年経過したがきわめて良好である.本疾患は慢性に経過し,心拡大を指摘されても原因不明のまま放置されることが多い.治療は内科的には難治性で,外科的療法が著効をみることが多い.本邦の報告例をまとめ,本症の病態について考察した.

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