心臓
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症例 WPW症候群 心房細動によるまれな高度頻拍の1例
石川 兵衞籠島 忠
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1975 年 7 巻 1 号 p. 74-80

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抄録

胸部圧迫感を主訴として受診した36歳の男性.心電図はf波を伴うきわめて高度の頻拍(心室頻度1分間平均280拍,最高375拍,不整)を示し,WPW症候群の心房細動発作が疑われた.頻拍中の心尖拍動図では各QRS群に対応して波動が認められるが,血液の拍出を伴う有効左室収縮は1分間平均58回であり,また心音図におけるII音の分裂はIIAが先行していた.本例は非発作時の心電図波形からWPW症候群C型と診断されたが,(1)頻拍時の心室頻度が従来の報告例に比して著しく高度であり,(2) その高度頻拍中の心機図が記録された点,はなはだ興味深い.本報告では,その臨床症状・心電図・ベクトル心電図・心機図所見について述べ,稀有な高度頻拍の成因と循環動態について考察した.

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