抄録
間歇性左脚ブロック5例において,心機図法による左心時相と左心機能の変動を正常伝導時と左脚ブロック時の両者で比較検討した。
左脚ブロック時には,駆出前期PEPは全例著明に延長し,左室駆出開始の遅れを認めた.しかし駆出前期の構成成分すなわち変容期Q-Cと等容収縮期ICTのうち,後者は全例で延長を示したが,前者は2例で延長2例で不変と左室収縮開始は一定しなかった.これらのことは左脚ブロック発生の部位の差―遠位部か近位部か―との関連が示唆される.左脚ブロック時に等容拡張期IRTは全例有意な延長を,駆出時間ETは4例で有意な短縮を認めた.また2例でA波率が増大,2例で立ちあがりslopeが緩徐になり,1例で収縮期bulgeが出現するなど左心機能低下を示唆する成績が得られた.左脚ブロック例と対比のため右室ペーシングを行なった例では,ペーシング時ICTは不変でQ-Cは延長した.