抄録
リアルタイムPCR法により作成される検量線の信頼区間を,Ct値の変動から推定した.得られた結果は実際の検量線の変動範囲とよく一致した.検量線の 95% 信頼区間で認められた変動幅は最大で±1%程度であったが,個別の検量線から推定されるコピー数の変動は大きく,20コピーでは±40%の範囲に推定値が分布した.各検量点におけるCt値の標準偏差は,20コピーの場合に特に大きく,これが原因となり検量線の変動が大きくなっていると考えられた.しかし,20コピーでのCt値のばらつきは測定系に入るコピーの確率分布に起因すると考えられ,分析法の改良により低減することは不可能である.20コピーの検量点を除いて作成した検量線では,両端の変動幅は小さくなり測定精度が向上した.