食品衛生学雑誌
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食品中の第2級アミンに関する研究 (第1報)
改良Cu-ジチオカルバメート法による第2級アミン (ジメチルアミン) の比色定量法の検討
河端 俊治石橋 亨中村 昌道
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1973 年 14 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
鮮魚介類をはじめ, 魚肉ハム, ソーセージ等の水産加工食品中の第2級アミンの測定として, DyerのCu-ジチオカルバメート法が, 一般に使用されてきた. Dyer法は比較的簡易ではあるが, 測定値にかなりの変動がみられる. 著者らは, この原因について検討を加えるとともに, さらに改良した第2級アミンの定量法を考案した. 得られた結果を要約するとつぎのとおりである.
1. 改良法においては, Cu-ジチオカルバメートの調製を2段の反応に分けて行ない, カルバメートの抽出溶媒にはクロロホルムを使用する. Dyer法では, 50°加温を行なっているが, 改良法ではすべての操作を常温で行なう.
2. 試薬添加量は, アルカリ試薬0.2ml, 銅試薬1mlで振とう時間は, アルカり試薬添加後2分間, 銅試薬添加後1分間とする.
3. 第2級アミン定量の検量線は添加標準法によって作成するか, 計算式で示される一点補正法による方法を用いる.
4. 第3級アミン (trimethylamine等) はCu-ジチオカルバメートを作らないので本法を妨害しない. また第1級アミンは, Cu-ジチオカルバメートを作るが通常の食品中に含まれる程度の低濃度では第2級アミン (DMA) の定量に妨害とならない.
5. 本法による回収率は97.6%であった.
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© 社団法人 日本食品衛生学会
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