鮮魚, 冷凍魚およびそれらの腐敗魚から分離した
Pseudomonas I 33株,
Pseudomonas II 36株,
Pseudomonas III/IV-NH 75株,
Pseudomonas III/IV-H 77株,
Vibrio 60株, および
Moraxella 43株, 計314株を用いて, その生物学的諸性状を比較検討し, 次に述べるように, 各菌群の鑑別特性を明らかにした.
Pseudomonas IとIIとは, けい光色素の産生性以外の諸性状ではほぼ一致しており, 両者を合せて1群とし,
Pseudomonas I/IIとして取り扱う方が妥当であるとみとめた.
Pseudomonas I/IIはグルコースを好気的に分解し酸を産生し, NaCl 0%では発育するが7%では発育しなかった. H
2S産生-, カゼイン分解-であった. またマラカイトグリーン5μg/ml, ロイコマイシン100μg/mlに抵抗性を有する点で他の4菌群と明瞭に異なっていた.
Pseudomonas III/IV-NHもNaCl 0%で発育し7%では発育しなかった. H
2S産生+, 硝酸塩還元+, カゼイン分解+などの点は重要な特性であることがわかった. またメチレンブルー50μg/mlに抵抗性を有する点で
Pseudomonas III/IV-Hと差異がみられた.
Pseudomonas III/IV-NHは
P. putrefaciensといわれるものと同一であると考えられる.
Pseudomonas III/IV-HはNaCl 0%で発育せず, 7%で発育し, 海水由来のものとみられる. 本群は
PseudomonasI/IIおよびIII/IV-NHとは上記のとおり種々の点で明確に区別された. また,
Pseudomonas III/IV-Hはグルコース非分解, NaCl 7%での発育, および硝酸塩非還元性の点で
Vibrioと区別された.
Moraxellaは球菌に近い形状を有し, 非運動性で, NaCl 0および7%で発育可能で, 炭水化物を分解せず, ペニシリン3I.U. /ml, アンピシリン0.1μg/mlに感受性を有する点などで他の菌群と明確に区別された.
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