1978 年 19 巻 5 号 p. 426-430_1
耐塩性菌である黄色ブドウ球菌の増殖に対するコール酸塩と食塩との協力作用を検討した. 本菌の食塩耐性は約15%であったが, コール酸塩を共存させると耐塩性の著しい低下が認められた. 0.05%コール酸塩や3%食塩の単独存在下あるいはこれらの共存下で加熱 (55°, 10分間)・凍結 (-20°)・解凍 (30°) 処理を行って, 本菌に対する傷害を調べた. 食塩の単独存在下における凍結・解凍の影響は全くみられなかったが, 加熱により菌の傷害がわずかに認められた. コール酸塩の単独存在下では, 凍結・解凍処理によって傷害は進行し, 加熱処理はこの傷害をさらに大きくした. 食塩とコール酸塩を共存させると加熱・凍結・解凍処理によって傷害はいっそう大となった.