食品衛生学雑誌
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腸炎ビブリオの酸損傷からの回復・増殖に及ぼすクエン酸と胆汁酸の影響
能勢 征子風戸 実香坂井 千三
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1986 年 27 巻 5 号 p. 492-500_1

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抄録

腸炎ビブリオを0.1M酢酸緩衝液 (2%ポリペプトン・食塩含む, pH 5.0) 中で処理して得た酸損傷菌の回復・増殖 (pH 8.0の2%食塩含有BHI培地中, 37°, 1夜静置) に及ぼすクエン酸, 胆汁酸の影響を検討した結果, (1) 0.1Mクエン酸と0.1%コール酸の各単独下での作用は小さいが, 両者の共存下では協力阻害作用を示した. (2) グリココール酸, タウロコール酸, 牛胆汁末もコール酸と同様にクエン酸と協力阻害作用を示した. (3) 上記の両者共存下での阻害作用は, 本菌の至適pH 8.0で最小, それより低いか又は高いpHでは大きくなった. (4) pH 7付近でのクエン酸, コール酸の共存は, 本菌の生菌数を急激に減少させた. 以上の現象は, 0.5%及び2%食塩下で同様に認められた.

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