2018 年 39 巻 3 号 p. 233-237
小児急性中耳炎は耐性菌の増加や肺炎球菌ワクチンの導入などで大きく変化している。しかしながら小児急性中耳炎の治療の骨格はいつの時代も同じで,(1)重篤な合併症を起こさないように,(2)すみやかに患児の苦痛(耳痛や発熱)を取り,(3)最終的に鼓膜所見を改善させて治療を終了する,この方針には変わりは無い。合併症対策として重要,とくに乳様突起炎やそれに併発する頭蓋内合併症を起こしやすい菌は,肺炎球菌やA群溶連菌であり,それらの菌に有効性が高いペニシリン系抗菌薬を十分な量でスタートすることである。ただし,耐性インフルエンザ菌が増加してきている現状ではあるので,高用量のペニシリン系抗菌薬が不十分であれば,診療ガイドラインを参考に抗菌薬のスイッチが必要になるであろう。また,発熱や耳痛などの臨床症状の改善には,やはり鼓膜切開は有用な手段であり,症状が遷延するものについては,鼓膜切開を検討することをガイドラインでも推奨されている。そのためには小児科医,耳鼻咽喉科医がより良く連携している必要があるであろう。