軟骨無形成症は,稀な骨系統疾患で,四肢短縮型低身長,特徴的な顔貌,三尖手など特異な臨床像を呈する.本症は,常染色体顕性遺伝形式をとりFGFR3遺伝子の機能獲得型変異により内軟骨性骨化が傷害されることにより発症する.本症の治療法として成長ホルモン治療や下肢延長術が行われてきた.近年では軟骨細胞増殖作用を有する治療法が開発されてきている.日本では,FGFR3による軟骨細胞増殖抑制シグナルを抑制する効果を持つボソリチドが2022年に保険適用となった.
本疾患の耳鼻咽喉科的合併症には,睡眠時呼吸障害(中枢性,閉塞性,混合性)や中耳炎,伝音性難聴がある.特に大後頭孔狭窄は中枢性睡眠時無呼吸との関連があり,乳幼児の生命を脅かす最も注意すべき合併症である.一方,閉塞性睡眠時呼吸障害に対しては耳鼻咽喉科的外科治療が行われるが,術前のみならず術後の睡眠時呼吸障害の評価が必要である.