低月齢における聴力レベルの測定には聴性脳幹反応(ABR)/聴性定常反応(ASSR)を用いるが,安定した検査を行うためには鎮静剤を使用した入眠が必要である.しかし,副作用のない薬剤もリスクのない鎮静もなく,呼吸抑制や徐脈に注意が必要である.トリクロホスナトリウムの内服で鎮静を行い,外来で検査を施行した0歳児251例を検討した.42例(16.7%)に呼吸抑制をきたし,発生時間は半数以上が入眠直後から15分以内であり,上気道開通性が影響していると考えられた.30分以上経過後の発生を1割程度認め,検査終了まで深鎮静へ移行する危険性を考えて対応する必要がある.リスクのない鎮静はないという意識のもとに呼吸抑制が起こる背景を考えた対応と情報共有を行うことが有効である.