室内環境
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原著論文
オゾン検知紙及び多孔質ガラス分析チップを用いた空気脱臭器より発生するオゾン及び窒素酸化物の測定
浅沼 光吾 山﨑 星河丸尾 容子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 24 巻 2 号 p. 97-106

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抄録
本研究では開発したオゾン検知紙及び多孔質ガラス分析チップを用いて室内オゾン(O3)及び窒素酸化物の簡易測定を行い, 3種類の空気脱臭器(製品A, 製品B, 製品C)の使用による空気質への影響を評価した。それぞれの空気脱臭器の吹出口の直近における平均O3濃度は製品A及び製品Bで2.60±0.25 ppmとWHO指針値(0.05 ppm)の50倍を超える値を示し, 製品CはWHO指針値の0.5倍の濃度であった。また, 室内環境基準値の設けられている二酸化窒素(NO2)濃度について, 製品Cは最大30 ppbとWHO及び学校環境衛生基準法の指針値(0.1 ppm及び0.06 ppm)以下であったが, 製品A及び製品Bでは810±235 ppbとWHO指針値の8倍を超える濃度が発生していることが明らかとなった。さらに, 製品Bより放出される平均O3濃度は距離zに対しz-0.60で減少し, 使用時間による濃度の蓄積は確認されなかった。平均NO2濃度については2020年11月と2021年1月の測定において, 距離zに対しそれぞれz-0.42及びz-0.70で減少しており, 室内環境条件による拡散の影響が推測された。
製品A及び製品Bの使用におけるO3及びNOx濃度の蓄積はないと考えられるが吹出口周辺では基準値を超える濃度であり室内空気質の低下が懸念される。製品CについてはO3及びNO2濃度ともに指針値以下であった。
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© 2021 一般社団法人 室内環境学会
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