理科教育学研究
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原著論文
理科実験における学習者の相互行為の実態と変容に関する研究
湯本 文洋西川 純
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2004 年 44 巻 2 号 p. 83-94

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抄録

本研究では,小学校4年~6年を対象として,理科実験における児童相互の会話・行動分析を行った。その結果,女子児童が実験等に積極的に参加しにくい実態が明らかになった。さらに,男子が女子の行動を阻害しているのみならず,女子自身が実験を放棄している実態が明らかになった。また,男子が女子の行動を阻害する場合また,女子が実験を放棄する場合に,それに対して異議を唱えない事例が少なくないことも明らかになった。このことは男子のみ,女子のみ, また,行動を阻害する側,放棄する側のみの問題ではなく, クラス全体の問題であることが明らかになった。小学校6年生を対象とした授業を行った。授業では,ビデオ視聴授業劇という15 分程度の指導を1度入れた。その結果,男子が女子の行動を阻害する場合, また,女子が実験を放棄する行動が減少することが明らかになった。さらに,行動変化は2ヶ月後にも継続していることが明らかになった。これらのことは,児童自らの中に男女間の相互関係を改善する力があることを示すものである。

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© 2004 日本理科教育学会
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