2004 年 45 巻 2 号 p. 37-44
本研究では,教師の指導法の違いによる理科学習場面に対する子どもの好き嫌いと考えの深まりについて明らかにすることを目的とした。小学校と中学校の子どもを対象に,質問紙調査を行った。質問は,理科学習場面の多い少ない,好き嫌い,考えの深まりについてである。各学校において平均値を求めるとともに,考えの深まりについて共分散構造分析を行った。その結果,子どもの予想や話し合い,考察を行うといった学習場面の多い小学校のクラスにおいては,子どもはそのような学習場面が好きであり,考えが深まると感じていた。そして,子どもが課題を設定し,観察・実験の計画を立て,観察・実験を行い,考察していくといった順序で,考えが深まることが明らかになった。一方,小学校,中学校ともに,教師が説明を行い,子どもはそれを記入するといった学習場面の多いクラスでは,子どもはそのような学習場面が好きであり,考えが深まると感じていた。そして.教師が課題や観察・実験の方法を説明し,子どもが観察・実験を行い,教師が説明してまとめ,子どもがノートに記入するといった順序で,考えが深まることが明らかになった。