2004 年 45 巻 2 号 p. 45-52
これまで“循環型の問答-批評学習(以下,「循環学習」と略記する)”利用は,児童のメタコミュニケーションを促し,科学的なコミュニケーション能力を高めあう教授法として有用であることが示唆されている。本研究の目的は,小学校6年「電流と電磁石」の単元の授業(全11時限)を事例として,循環学習を利用する授業と利用しない授業を行い,質問紙調査の結果から循環学習利用の効果を検討することである。その結果,本事例の範囲内で,循環学習利用には次のような事項が見い出された。(1)循環学習利用は,児童に「電磁石の力の大きさを比較する実験方法に関する知識」の獲得を促進させる。(2)循環学習利用は,児童に「実験器具を導線でっなぎあわせて回路を作る知識」の獲得を促進させる。特に,この点は女子に顕著である。(3)循環学習利用は,児童に「最初に回路を組む時,直流用電流計の5〔A〕のマイナス端子を選ぶ理由に関する知識」の獲得を促進させる。