2010 年 51 巻 1 号 p. 103-115
小学生の多くは,「月の満ち欠け」の理解に困難を抱えているが,本研究では,「かげのしくみ」に着目した「月の満ち欠け」現象に関する授業を計画し,実践した。具体的な内容として,継続的な観察活動と, 2種類のかげである影と陰の区別とを密接に関連させた授業を行った結果,次の3点が明らかになった。(1) 2種類のかげの区別に着目した「月と星」の授業は,月の満ち欠け現象に関する正しい認識の形成に有効であること。(2) 特に「影」と「陰」という2種類のかげの区別ができ,月にできている半球状の「陰」を認識している児童の多くは,月の満ち欠け現象の正しい認識をもっている傾向にあること。(3) 「光とかげ」に関する理解と,「月の満ち欠け」現象の正しい理解には高い相関関係が認められること。