本研究では,中学校の理科で,生徒が自由に席を離れて立ち歩きながら,課題の達成に向けで情報を収集し合う相互行為の現れる『学び合い』の考え方による授業において,相互に認識している教え手と学び手を特定し,それらが同じグループに多いのか異なるグループに多いのか,それは男女間で違いが認められるのかを調査した。その結果,次の点が明らかになった。・相互に認識している教え手と学び手は異なるグループに多い。・相互に認識している教え手と学び手は,全体として同性,異性に関わらず認められる。以上の点は『学び合い』の考え方による授業がグループ内のみでなく,グループ間において相互行為が男女を問わず起きることを示唆している。したがって『学び合い』の考え方による授業を試みることによって,グループ編成やジェンダーに多くの配慮をする必要がなくなると言える。