2011 年 52 巻 2 号 p. 143-153
本研究では,まず理科教員58名を対象にしたコア知識一覧表利用に対する意識調査を実施した。さらに,中学校1年生46名を対象にして,コア知識一覧表を用いた6時間の『物質の状態変化』の試行授業を展開し,生徒への影響を調査した。その結果,理科教員への調査からは,従来の理科授業では学んだ知識について振り返ったり,つながりを確認したりすることは限られていたが,コア知識一覧表を利用できれば,理科教員が単元間のつながりまで意識した授業を展開するようになることが示された。試行授業を受けた中学校1年生には,前の学年で学んだことを振り返ったり,学習内容のつながりを意識するようになったりすると感じられ,「粒子・粒子の運動」が『物質の状態変化』とつながっていると認識されて,発展的課題には63.0%の生徒が粒子モデルを使って説明するようになっていた。