これまで,電流の方向性と保存性の概念は習得し難いこと等が報告されている。1984(昭和59)年から,日本の中学理科の教科用図書には豆電球・乾電池各2個,スイッチ1個からなる直列回路<2個の豆電球は点灯するがその明るさは異なる>を主とした文脈の回路教材群(従来型)が掲載されてきた。本研究の目的は,先行研究の指摘に基づきこの回路に替えて同種の器具を用いるが豆電球の規格が異なる直列回路<片方の豆電球のみ点灯して見える>を主とした文脈の回路教材群(Zero型)を導入することを企図し,Zero型が中学理科における電流に関する学習を履修前の中学1年生(320名)に及ぼす影響を明らかにすることである。質問紙調査を行った結果,Zero型に埋め込まれた疑問を調べる意欲と文脈依存度は従来型より高いことが明らかになった。しかし,文脈依存度が高まるZero型は科学モデルへ収斂させ難くするかもしれない。