2012 年 53 巻 2 号 p. 295-303
本研究は,認知論的アプローチとしてコンフリクトマップを溶解概念変容の学習に適用させた。コンフリクトマップ上の「科学的概念に関連した他の適切な概念」を導入しながらConflict2の解決を図った。その際,中学校第1学年水溶液における均一性の概念形成を対象とし,エスノメソドロジーの視点から,教師のリボイシングによる支援的介入が,同概念形成にいかに機能するのか実証的に検証した。本研究は,科学的概念形成にとって重要であるConflict2を解決する局面で,「科学的概念に関連した他の適切な概念」として,「粒子化された溶媒の概念」を設定した。この粒子化された溶媒の概念を子どもから引き出す過程および,粒子で表現した溶質と溶媒の関係を「知覚的な事象」として表現しあう過程を通し,子どもはConflict2を解決し,「均一性」についての科学的概念を形成することができた。「粒子化された溶媒の概念」を獲得させる過程において,教師のリボイシングによる支援的介入は,言い換えによるフィードバックであったり,新たな視点に気づかせる再解釈化であったり,再定式化であったりすることが実証できた。