2013 年 53 巻 3 号 p. 535-545
日本の生物教育カリキュラムの実効性を高めるための観点や方策を得る目的で,1990年代に国家的な科学教育スタンダードが提示されたあとに出版されたアメリカの高校生物教科書の分析を行い,スタンダードの内容と教科書の記載内容の関係を調べた。2003-2010年に出版された9種類の教科書の記載内容を調べた結果,①探究中心のアプローチである,②観察・実験などの活動が多様化している,③進化を共通項とするような生物の分類の取り扱いがある,④ヒトに焦点を当てた内容の取り扱いがある,⑤生物学に関連した職業,先端研究,社会問題が提示されている,⑥インターネット教材とのリンクがある,などの特徴があることがわかった。生物教育内容の構成については,生物の基本概念を階層化して具体化し,教科書の単元・章・節の先頭に記載したり,基本概念間のリンクを提示するためにコンセプトマップを学習に取り入れたり,内容間のリンクの説明を付記したりする方策が用いられていた。また,観察・実験や学習の振り返りにおいて,必要となる探究スキルが具体的に提示されていた。探究活動に必要なスキルを考慮して,生物教科書の学習内容のシークエンスを検討する必要性が示唆される。