2013 年 54 巻 1 号 p. 117-126
科研奨励研究平成14(02’)~23(11’)10か年における自然科学関連課題の採択動向を調査し,その実態から創設来44年間大幅な見直しのなかった現公募要領の公募目的・応募資格の記述とその解釈に問題点多々あり,奨励研究創設当初の「初・中等教育および教育委員会等関係者による大学等の研究機関で行われないような教育的意義のある研究」から年々乖離した採択動向がみられることが分かった。これは現公募要領における網羅的且つ不明確な記述の解釈が審査に影響し,採択実態に反映したのではないかと考え,これら問題点を論及する資料に本報を供するとともに,創設当初の原点にもどった公募要領の見直し,あるいは科学立国を標榜し,明確に科学教育振興を目的とした学振もしくは文科省による新研究費補助制度を考える時期であることを提言した。