2015 年 56 巻 2 号 p. 141-149
本研究は, 生徒が取り組む理科の自由研究に対する教員による事前指導の効果を調べた論文である。調べ学習が多い傾向を持つ中学校の1年生に対して, 夏休み前に自由研究の指導をおこなう過程で, 実験において測定に取り組ませる演習をおこない, その効果が生徒の研究手法にどのように反映されるかについて検証をおこなった。3つの簡単な研究課題と実験材料を与えて4人グループで実験をおこなわせて, その結果について全体でまとめる指導をおこなった。この結果, 夏休みの自由研究で何らかの測定をおこなった生徒が6割以上と, これまでの学年に比べて大幅に増加し, 測定を自分なりに工夫する生徒が増え, 実験の種類も多様化することが分かった。さらに報告書の提出から2ヶ月後に, 理科の観察・実験や自由研究について意識調査をおこなったところ, 指導をおこなった学年は他学年や他中学の生徒に比して高い学習意欲を保持していることを確認することができた。