理科教育学研究
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原著論文
科学的概念の形成をめざした理科授業開発
―作用・反作用の法則に関する指導法に焦点化して―
沖野 信一山岡 武邦松本 伸示
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2016 年 57 巻 2 号 p. 103-114

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抄録

本研究では高等学校の物理教育において, 作用・反作用の法則に関する科学的概念を構築する指導法について検討することにした。生徒は2物体の間で及ぼし合う力に関する強固な素朴概念を保持しているため, 作用・反作用の法則を正しく理解させることは難しいとされている。本研究では, 作用・反作用の法則に関する科学的概念を構築する際に「メタ認知的支援」の有効性を吟味することにした。なお, 本研究で述べる「メタ認知的支援」は, 以下の三段階の支援を行うことにした。方略1: 「素朴概念の明確化」。方略2: 「素朴概念の獲得過程の明確化」。方略3: 「素朴概念と科学的概念の接続・照合」。この三段階の支援を研究授業で行った結果, 生徒の理解度が大幅に上昇し, 2ヶ月後の遅延テストでも理解度の低下はわずかであった。したがって, この研究授業においては, 本研究の指導法が作用・反作用の法則に関する科学的概念を構築するのに有効であることが示された。

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© 2016 日本理科教育学会
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