理科教育学研究
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原著論文
絹フィブロインを用いた化学実験教材の開発
―タンパク質の検出反応と染色実験―
二宮 純子上野 崇寿桑原 眸森田 洋
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2019 年 59 巻 3 号 p. 431-441

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抄録

高等学校「化学」の単元で,フィブロインは天然高分子化合物の一例として取り扱われているが,絹フィブロインの性質や反応性に関する化学実験の実践例は報告されていない。そこで,本研究では,50分授業を想定した化学実験を考案した。蚕繭を精練・溶解・透析により調製されたフィブロイン水溶液は,タンパク質の検出実験において標準タンパク質(standard protein)として実験教材に適用できることが確認できた。また,高分子化合物の繊維の判別法である染色実験において,不溶化した再生フィブロイン膜は動物繊維に特有の呈色を示すことを確認した。再生フィブロイン膜は天然繊維の特性をもち,合成繊維と比較する生徒実験の教材として適していることを明らかにした。繭から絹フィブロインを分離・精製し,その物質の化学的性質を検証する一連の実験は,日常生活の中で利用されている物質への関心を高め,科学的に探究するために必要な実験の基本的な技能を習得させる基礎化学実験として適していることが示唆された。また,小・中学校までに学習した「蚕」や「繭」との関連を図ることで,人間生活の中で化学が果たす役割を理解する教材へと展開することができると考えられる。

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© 2019 日本理科教育学会
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