2019 年 60 巻 2 号 p. 375-384
本研究は,フィードバック機能を軸とした①自己調整学習から②協同調整学習,③共有された調整学習への移行に伴う「社会化」の内実について事例的分析を行うことを目的とした。その内実として,子どもがフィードバック機能を自覚的に駆動できない段階では,教師が有能な他者として足場作りを実施し,相互アプロプリエーションによる「社会化」を促した。一方,子どもがフィードバック機能を自覚的に駆動できる段階になると子どもの主体的な学びとして,子ども同士が有能な他者として相互アプロプリエーションを繰り返して合意形成を図った。つまり,子どもがフィードバック機能を自覚的に駆動できるように学習を支援することで,子ども自身が①から③へ自己調整学習の移行に伴う「社会化」を図り,科学概念の社会的に構築することが明らかとなった。