理科教育学研究
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資料論文
ピンホールを用いた太陽直径の算出と効果
―中学校理科第3学年「地球と宇宙」の授業への試験的導入について―
山本 浩大
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2020 年 60 巻 3 号 p. 695-700

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抄録

中学校理科第3学年第2分野「地球と宇宙」の「太陽系と恒星」では,太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだすことを目標としている。その中には,黒点の観察も含まれているが,太陽直径の推測が生徒実験として導入されている事例はない。本研究では太陽を直視せずに太陽直径を生徒に算出させる方法を授業で導入し,算出精度を向上させるための教材教具の工夫とそれによる生徒の太陽に関する興味の変化を明らかにすることを目的とした。太陽直径を1,391,400 kmとした場合,ひもを用いた平成28年度は約70%の班が,光学台を用いた平成29年度は約80%の班が誤差30%未満で太陽直径を算出した。太陽像の直径とピンホールから太陽像までの距離の関係において,理論値から算出される近似直線の傾きと実測値から算出される近似直線の傾きに差があるかを調べるために,t検定を行った。平成28年度は有意差があり(df=44,p<0.01),平成29年度は有意差がなかった(df=29,p=0.4332)。授業の前後で,太陽の興味に関するアンケートを実施し,事前には約50%の生徒が太陽に興味があると回答し,事後には約70%に上昇した。太陽に加え,他の天体の大きさや地球からの距離に興味を示していた。実験時に,はっきりした太陽像の大きさを測定させる操作に課題が残った。

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© 2020 日本理科教育学会
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