2020 年 61 巻 1 号 p. 139-152
本研究の目的は,理科における実験結果の捏造や書き替え,書き写しなどの研究倫理・研究不正に関する問題に着目し,これまでどのような不正行為が,どのくらい行なわれたのかという大学生の経験と,不正行為に対してどのように考えているのかという大学生の認識の実態を明らかにすることである。この目的を達成するため,理科における不正行為に関する質問紙を作成し,136名の大学生を対象に調査を実施した。その結果,教科書や黒板,他の人の実験結果を写す行為や実験結果を消したり書き替えたりする行為が,他の不正行為よりも頻繁に行われてきたことが明らかとなった。その一方で,大学生はこれまでの理科授業において,不正行為が悪い行為であると認識していたことが明らかとなった。