理科教育学研究
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原著論文
理科授業におけるメタ認知的支援の有効性に関する研究
―高等学校物理基礎「作用・反作用の法則」に焦点化して―
山岡 武邦沖野 信一松本 伸示
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2020 年 61 巻 2 号 p. 349-359

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抄録

本研究は,沖野・松本(2011)のメタ認知的支援に従い「素朴概念の明確化」「素朴概念の獲得過程の明確化」に関わる二つの発問を中心とした授業実践を行った。授業実践は,愛媛県内の高等学校総合学科第2学年の物理基礎履修者29名(便宜的に「クラスA:N=14」「クラスB:N=15」)を対象に,2019年1月から2月にかけて行った。クラスAは,「素朴概念の獲得過程の明確化」の過程で,新たな疑問が生じたかを考えさせる手続きをとるため,TPSQ“Think-Pair-Share-Question”ワークシートを用いた。クラスBは,新たな疑問の生成に関する話合いをしないTPS“Think-Pair-Share”ワークシートを用いた。その結果,(1)新たな疑問の生成に関する話合いをしたクラスAの方が,記憶の保持時間が長くなる傾向があったこと,(2)新たな疑問が生じたかを考えさせる方が,実験結果を考慮した視点からの記述をする傾向がみられたことが明らかとなった。

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© 2020 日本理科教育学会
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