小学校第4学年理科「人の体のつくりと運動」では,内容の理解を促すために,ヒトの骨や筋肉を模した各種教材が市販され,教員や研究者による手作り教材も多数公表されている。これらのなかには,骨・関節・筋肉の再現度に課題があるものが含まれる。また,肘関節を動かすことで筋肉が収縮するしくみのものも多数見られ,これらは本来の因果関係とは逆である。さらに,活用方法が限定的で,児童の創意工夫や主体的活動に対応できないものもある。そこで筆者らは,腕のつくりの再現度,つくりと運動の因果関係,模型活用の柔軟性の3つに重点を置いて,従来の問題点を改善した教材の作製を試み,この教材を活用する授業プランを考案した。作製した模型では,ヒトの腕の上腕骨・尺骨・橈骨を3本の木材で表現し,木材の繋ぎ方の工夫により,肘関節の再現度を高めた。筋肉にはおもちゃの「ミラクルロケット」を用い,その内部に入れたテグスを引くことによって,筋肉が中心部に向かって縮むことを再現した。これを先の肘関節の模型に取り付けることで,筋肉の収縮によって肘関節が動くという因果関係に適うものとなった。さらに,骨と筋肉の着脱の容易さから,児童がペアやグループで主体的に問題解決に取り組め,1単位時間だけでなく,単元を通した段階的な学びが可能である。