2021 年 61 巻 3 号 p. 527-532
本研究では,理科教育における電気化学実験に供する新たな溶液撹拌手段として,ローレンツ力による流体的効果(以下,磁界効果)を利用した方法の可能性を検証した。検証はマイクロスケール電気分解実験を想定した形態で実施し,セルプレートの1セル内において,鉛直方向の磁界をかけた状態の下,横並びに対向配置させたアルミニウム電極を用いて塩化カリウム水溶液の電気分解を行った。その結果,通電に伴って一定方向の旋回流が発生し,電解質水溶液全体に撹拌作用がもたらされることが確認された。これにより,磁界効果を利用したマイクロスケール電気分解実験への撹拌作用導入の可能性が示された。