理科教育学研究
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原著論文
「探究の技能」に基づく観察・実験等の類型化とその探究的特徴
―小学校理科教科書の分析を通して―
山田 貴之田代 直幸栗原 淳一小林 辰至松本 隆行木原 義季山田 健人
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2021 年 62 巻 1 号 p. 339-354

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抄録

本研究では,Y社の2019年検定済小学校理科教科書に掲載されている全観察・実験等を対象に,長谷川ら(2013)が開発した「探究の技能」の含有率の傾向から類型化し,各クラスターの探究的特徴を解釈するとともに,各学年で育成する問題解決の力の傾向について検討した。その結果,教科書に掲載されている観察・実験等は,「探究の技能」の傾向によって6つに類型化できることが明らかになった。そして,6つのクラスターの探究的特徴に基づいて解釈した各学年の観察・実験等の傾向と指導上の留意点を示唆することができた。Aクラスター:事象のようすや性質,変化の特徴を計測したり観察したりして,帰納的に思考する群。Bクラスター:仮説を立てて,独立変数を制御し,従属変数の変化を定性的に捉え,帰納的に思考する群。Cクラスター:仮説を立てて,独立変数を制御し,従属変数の変化を測定して定量的に捉え,帰納的に思考する群。Dクラスター:事象のようすや性質,構造等を調べ,記録を行い,分類の観点に基づき定性的に識別し,帰納的に思考する群。Eクラスター:仮説を立てて,事象のようすや性質,変化の特徴を定性的に捉え,帰納的に思考する群。Fクラスター:仮説を立てて,因果関係を有する単純な事象のようすや性質,構造等を観察したり,変化の特徴を計測して収集した定量的なデータをグラフ化したりして,帰納的に思考する群。

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© 2021 日本理科教育学会
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