本研究は小学校理科の問題設定場面における,「なぜ」という探究の見通しを持たない疑問を「何が」や「どのように」といった探究の見通しを含む問いに変換する際の思考力に着目し,その育成を目指している。このため,本研究では先行研究で明らかになっている問いへの変換過程における思考過程や小学生の実態を踏まえた学習指導法を考案し,小学生を対象とした授業実践を行った。具体的には,問いへの変換に必要となる知識を理解させるための学習指導を1時間設けた後,普段の理科の授業の中で理解させた知識を繰り返し使用させるための学習指導を4時間設けた。そして,その効果の検証を行ったところ,考案した学習指導法は,小学生の問いへの変換に必要となる知識の獲得を促し,その結果,問いへの変換における思考力を育成することのできる学習指導法であったが,その効果は限定的なものであった。