2021 年 62 巻 1 号 p. 149-157
本研究では,中学校の理科授業における「主体的に学習に取り組む態度」の効果的な指導と評価を目指して,学習者の具体的な姿を行動レベルで示した評価指標の開発を目的とした。この評価においては,「粘り強い取組を行おうとする側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」の2側面から見取る必要性が示されている。そこで,評価指標となり得る尺度の作成を試みた。まず,この2側面について中学校教員3名を対象に目指すべき姿について自由記述による調査を行い,項目を収集した。次に,得られた項目について中学生397名を対象に質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果,理科学習における粘り強さ尺度22項目,理科学習における自己調整尺度29項目の尺度が作成された。また,作成されたそれぞれの尺度の外的妥当性を検討するために,得られた尺度得点と理科の学業成績との相関係数を算出した結果,それぞれ有意な正の相関が認められ,一定水準以上の妥当性が確認されたため,評価指標としての有用性が認められた。