理科教育学研究
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原著論文
中学校理科の考察における科学的な表現の育成に関する一考察
―相互評価活動下において考察記述の定型化指導を組み込む学習活動を通して―
山内 慎也郡司 賀透飯田 寛志後藤 顕一
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2022 年 63 巻 2 号 p. 399-414

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抄録

本研究は,相互評価活動下において考察記述の定型化指導を組み込む中学校理科の授業を実践し,学習者の考察における科学的な表現の育成を明らかにすることを目的として行った。この目的を達成するために,相互評価活動を取り入れる群,考察記述の定型化指導を取り入れる群,相互評価活動下において考察記述の定型化指導を組み込む群を設定し,学習者の調査問題と授業に関する自由記述における回答の分析を行った。分析の結果から,相互評価活動下において考察記述の定型化指導を組み込む授業を行うことは,相互評価活動と考察記述の定型化指導のいずれか一方を取り入れる授業を行うことと比較して,科学的な表現における根拠(理由)の改善が見られたこと,その要因の一つは,相互評価活動下において考察記述の定型化指導を組み込む授業を行うことで,学習者は自己評価や他者評価を行う中で,グループで話し合い,探究の過程を振り返るなどの協働的な学びを通して考察の書き方が分かるようになり,さらに,教師から書き方についての指導を受けることで,考察に結果,主張,根拠を書く意識を持ったことにあると明らかになった。

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© 2022 日本理科教育学会
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