理科教育学研究
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資料論文
理科免許取得を目指す大学生は風化を正しく理解しているか
亀田 直記瀧本 家康
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2023 年 64 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

比喩的にも使われる科学用語である風化は,学習指導要領上では高校地学で取り扱われる。本研究では教員養成課程に在籍し理科教育を専攻する大学生が,風化の定義を正確に理解しているかを明らかにした。理科教員免許取得に関わる必修の授業の受講生にアンケート調査を行い,花崗岩が風化してできた真砂はどのようにできたか仮説を立てさせた。アンケート調査の結果,風化の正しい定義を選んだ者は37%にとどまり,風の作用による岩石の移動・変化という誤った選択をした者が53%と最も多かった。真砂の形成についての仮説設定では,中学・高校の教科書の記載に沿った視点の記載が16%にとどまり,誤りである侵食・運搬・堆積に関連した記載が42%,衝突の視点に沿った記載が21%となった。理科教員を目指している大学生は風化と運搬作用中に生じる破砕・摩耗による細粒化を混同している可能性があり,風化を正確に理解する教材の開発や,学習指導要領の該当箇所の見直しを検討することが望まれる。

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© 2023 日本理科教育学会
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