本研究では,理科において重視される体験活動の充実のために,高橋熙の「体験教育」の教育原理とその具体的プロセスを基に,「体験」の発展拡充に着目した実践の検討を行い,理科教育用W型問題解決モデルにおける「探検学習」の内実を吟味し,得られた知見から理科における体験活動へ示唆することを目的とする。その結果,自然体験を含んだ表現活動としての「体験教育」の実践や,理科教育的要素を含む「体験教育」の実践において,「体験教育」の具体的プロセスである「体験」・「表示」・「再体験」の「連関」要素すべてを踏まえた「体験」の発展拡充が確認できた。また,理科教育用W型問題解決モデル「探検学習」の第一段階,第二段階が往来することも明らかとなった。そして,これらの「連関」要素を理科教育における体験教育に取り入れることで,学習者である児童は「体験」の価値を見出し,体験活動の充実につながることが示唆された。